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放射線により誘発されるバイスタンダー効果に関する研究成果が「Scientific Reports」誌に掲載(放射線生物学部門) 2019.7.4

 放射線生物学部門・有吉健太郎助教らの研究チームは、放射線誘発バイスタンダー効果が、細胞が分泌するエクソソームと呼ばれる細胞外小胞中のミトコンドリアDNAにより引き起こされることをScientific Reports誌に発表しました。
 放射線を被ばくした細胞から放出された因子によって、放射線被ばくしていない周囲の細胞において放射線被ばく様の影響が現れる、「放射線誘発バイスタンダー効果」と呼ばれる現象が古くから知られています。
 今回、生物学部門の研究チームは、ヒト正常線維芽細胞とマウス個体に4Gyの放射線を照射したのち、ヒト正常線維芽細胞から細胞培地に含まれるエクソソームを、マウスからは血漿中に含まれるエクソソームをそれぞれ回収しました。回収したヒト細胞のエクソソームを放射線に被ばくしていないヒト細胞に処理し、マウス血漿中のエクソソームを放射線に被ばくしていないマウス細胞に処理したところ、処理された細胞においてDNA損傷が誘導されていることが判明しました。放射線照射された細胞培地やマウス血漿中のエクソソームにRNase、DNase、proteaseをそれぞれ処理したところ、DNase処理したエクソソームではDNA損傷の誘導作用が消失していました。また、放射線を照射したミトコンドリア欠損ヒト細胞(rho 0細胞)培地中のエクソソームでは、DNA損傷誘導が見られませんでした。
 これらの結果から、放射線照射された細胞から放出されるエクソソームには、ミトコンドリアDNA(mtDNA)が含まれており、mtDNAがバイスタンダー効果を誘導しているという仮説を立て、エクソソーム中のミトコンドリアDNA(mtDNA)の存在量を調べたところ、放射線によってヒト細胞培地中、マウス血漿中のmtDNA量が増加することが判明しました。また、人工的にmtDNAと核DNAを増幅させたのち、エクソソームに導入し、細胞に処理した際、mtDNAを導入したエクソソームがDNA損傷を誘導することが判明しました。

 本研究結果は、エクソソームに含まれるmtDNAがバイスタンダー効果を引き起こす一つの要因であることを示しています。

【掲載論文】
Kentaro Ariyoshi*, Tomisato Miura, Kosuke Kasai, Yohei Fujishima, Akifumi Nakata, Mitsuaki Yoshida*, Radiation-Induced Bystander Effect is Mediated by Mitochondrial DNA in Exosome-Like Vesicles, Scientific Reports, DOI: 10.1038/s41598-019-45669-z (*Corresponding authors)
https://www.nature.com/articles/s41598-019-45669-z








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